「“お蔭様”の正体は?」
(2013年7月号)
目に見えている以上のもの
今回は「お蔭様」の正体に迫ります。
日本人は昔から「お蔭様で」という言葉をよく使います。
辞書には「他人から受けた助力や親切にたいして感謝の意をあらわす」と書かれてありますが、助力や親切をくださった直接の相手以外にも、この言葉は、感謝はもちろん挨拶や社交辞令にいたるまで、頻繁に登場するように思います。
先々月ふと、「“お蔭様”って、集合無意識のこと?」と感じました。
集合無意識とは、スイスの精神科医・心理学者カール・グフタス・ユング(上写真)の発見した概念で、1人1人の人間の意識は、氷山の一角のように個別にあるように見えても、
そのさらに深い部分、潜在意識→無意識と潜っていくと(氷山が根底ではくっついているように)人類の意識は根底では繋がっているのではないか、というものです。
以心伝心、虫の知らせ。
又、交通や通信機器が発達していなかった昔から、世界中の神話や伝説に共通した元型がある。
これらも、集合無意識(根底では繋がっている)という概念から見れば、合点がいくように思います。
色彩言語では、ターコイズブルーが「集合無意識」をあらわします。
カラーセラピーにおいてターコイズが21世紀を象徴する色と言われるのは、集合無意識が活性化する時代といわれているから。
それは、インターネットの普及により、時空を超えて、同じ価値観やチャンネルを合わせた人が一瞬で繋がる時代になったからというのが大きいでしょう。
もちろん、潜在意識(水面下)では、既に繋がっていたと思うのですが、それを加速したのがインターネット=ITなのでしょう。
話題は戻り、以前から、色々な方々や本を通じてよく聞いていたのが
「心から応援したり、あるいは支えたいと思って誰かを応援していると、なぜかその後自分の運が上がった」
「直接自分が力添えした相手から返ってきたというよりはまったく関係のない所からチャンスやラッキーがやってきた」「情けは人のためならず」という体験談です。
こういうことって、皆様ほぼ全員といってよいほど、人生で体験されているのではないかと思います。
個人的にも、大きなお仕事を頂いたときは、それより前の時期に、自分が心から応援したい人を引き立てようとしていたという傾向があります。
ほぼ毎日お仕事のご予約オーダーを頂いた時期は偶然にも、亡くなる2ヶ月前から寝たきりになった、最愛の祖母のお世話を、家族親戚一丸となってしていた時期でした。
義務や犠牲や義理、ギブアンドテイクなどではなく、心から、もしくは無心に、または何気なく人のために自分の時間(命)を注いだとき、それが自分の予想を超えて返ってくる。
でも、それに気づくのはいつも決まって後から。
長い人生の中で、人のため(自分含む全体のため)と思うことをする時期が、誰にでもあるかと思いますが、そういう時期に限って、何でもスムーズに叶ってしまうこともある。けれど概ね、そういった時期は自分の願いごと等は忘れているのですが。
人のために何かをしたとき、それが巡り巡って返ってくるのは集合無意識ではみなつながっているから「1人は万人のために、万人は1人のために」なのでしょう。
集合無意識は水面下のずっと下ですから、イメージからしても陰の部分です。
それを思ったとき、「お蔭様って、集合無意識(根底でつながっている全体の意識)のことなのかも?」と感じました。
もちろん、一概に「お蔭様=集合無意識」では説明しきれない部分もあると思います。
けれど、誰かのためにしたことが全体に良い影響をもたらしたのだとしたら、全体(集合無意識)からの応援や恩恵が発生し、全く関係のないところからの縁などで何かが叶ったりするのも、不思議ではないのかもしれませんね。
余談ですが、以前、カウンセラーの石井ひろゆきさんという方が「21世紀はみんなのためを考えている人が力を持つ。なぜなら、潜在意識で皆繋がっているから、全体のためを考えない人が力を持ったら大変なことになるから」と講演録で仰っていたのを覚えています。
さて、お蔭様の話に戻ります。
私の親友の、アロマ鍼灸師の絵理さんは、ご親族の命日に、まるでご先祖さまが応援してくれたのではと思うような良いことが起こる傾向が続いたそうで、それをある時「絵理ちゃんが○○(親族の方が生前好きだった、社会貢献関係の事)をしてくれたから御礼だよ」というインスピレーションを受けたそうです。
お蔭様の集合無意識は、いま地上に生きている方、地上から旅立った方、すべてを含んでいるのかもしれません。
結びに。絵理さんから頂いた絵本『いのちのまつり』(サンマーク出版 著者:草場かずひささん、絵:平安座資尚さん)でも、「お蔭様」のヒントを見せていただきました。
現在、小学校の「道徳」副読本に全面採用されている絵本だそうですが、ご先祖さま=「いのち」を辿っていくと、それこそ、すべての人が繋がっているというのが、イラストで見事に描かれていて
「心理学的にも、肉体という物理的にも、すべてつながっている。お蔭様は、ご先祖様をも含んでいるのかもしれない」
と気づかせて頂きました。