『土星 ~時間という贈り物~』
(2005年6月号)
グランディング(地に足をつける)の星
今回は土星です。
突然ですが、15世紀アメリカ大陸を発見した、
かのコロンブスは、もう1つ歴史に残る偉業を成し遂げました。
それは、卵を平面上に、立たせたことです。
それまで誰もが挑戦し、立たせる事のできなかった卵を、コロンブスは平面上に立たせることができました。
すっかり同じ卵を使って、何ら変わらない条件のもとで行っているのになあと、他の人々はとても不思議がりました。
すると、コロンブスは言いました。「けれど、卵はこう言っているよ。“僕が自分の力で立つまで、みんな待っててくれなかったんだ”ってね。」
このお話が今回の「土星」のキーワードになります。
土星、サターンといえば、占星術の本をちょっとでもお読みになられた事のある方は、試練の星、チャレンジの星というイメージがあるかもしれません。
セッションで、こちらがお客様のホロスコープの土星の位置を説明したとたん「土星が○○の部屋にあるってことは、○○ヤバイですか?」「この○○に土星があるから、試練に感じやすいのでしょうか」なんて仰る方々も時折いらっしゃるほど、土星=サターン(悪魔的?)というイメージが、あるようなのです。
それほど、従来の占星術では(国にもよりますが)土星は試練をあらわす星と解釈されることが大部分でした。
あなたの苦手意識を感じる分野、石橋をたたいても渡るかどうか迷ってしまうほど慎重になってしまう分野、一番忍耐のいる分野。
時間をかけてようやく乗り越えられる、一筋縄ではいかない分野・・・。
それは、あなたのホロスコープの土星がどの位置にあるかによって垣間見えます。
けれど最近の占星術では、土星は年を重ねるにつれて、あなたの最も安定してくる質であり、ある一定の年齢を超えると、土星の位置する分野
は、その人の最も得意分野になっていくと解釈されるようになりました。
実際、早ければ28歳頃から、
又はそれよりも年齢を重ねた方々のホロスコープで土星の位置する分野を拝見すると、年を重ねるにつれて能力を発揮している分野で
ったりします。
なぜ今と昔では、このような解釈の変化、移り変わりがあるのでしょうか?
それはひとえに、平均寿命が延びた事に起因していると思われます。
平均寿命がとても短かった昔では、人は試練やチャレンジを超えた後にあるギフト(才能、強み)を
見つける前にこの世を去ってしまうケースが多かったのですが、
平均寿命が延びた現代では、土星の試練やチャレンジを超え、かつ才能を磨き、それを仕事にしてしまう人々も多数いらっしゃるのです!
土星の持つ意味の1つに、『権威』という意味があります。
権威は、 英語でオーソリティですが、その語源はオーサー(作家)から来ているそうです。
土星の示す分野(人によりますが、対人関係であったり仕事であったりお金
であったり結婚であったり、十人十色です)の試練を超えた人は、その分野の権威になり、中にはその分野の本まで出版してしまう人もいる・・・つまりプロフェッショナル、達人という事です。
時間がかかるのは、それだけ、時間をかけて磨かれる大きな才能が隠れているということ。
カラーセラピーでも云われるこの法則は、アストロロジーにもいえるのです。
健康の部屋に土星がある友人は、若い頃から健康の大切さを人一倍感じているため、健康管理が得意で、現在は代替医療のプロフェッショナルとして活躍されています。
学問の部屋に土星がある恩師は、海外文化のスクールを経営されています。又、この部屋に土星のある方で歴史の本を何冊も出版されている郷土歴史家の先生もいらっしゃいます。
著名な心理学者フロイトは、「人と深く関わる部屋」に土星があり、表現のマスターであるチャーリー・チャップリンは「自己表現とクリエイティビティ」の部屋に土星がありました。
なぜ、このように土星は大きな才能になり得るのでしょう。
それは先述の通り、土星が司る「時間」ということが関係しています。
時間をかけた分だけ、しっかりした基盤ができるし、
小手先のテクニックや要領ではない、「実力」となるのです。
私は、一個人的には、土星を 「雨降って地固まる」
「時間をかけたものは、簡単にはこわれない」というギフトだと解釈しています。
あなたのホロスコープで土星が位置する分野は、あなたが将来オーソリティになる分野、恒久的で偉大な才能を発揮する可能性があります。
土星は、文字どおり土、地上。あなたの
“輝きをしっかりこの地上に根付かせるヒント”を、教えてくれているのです。