苦手なものの後ろに隠された才能
(2003年~2011年執筆)
土星からの贈り物 ~時間をかけたものは、簡単にはこわれない~(2003年執筆)
西洋占星学では、古くから、土星は試練を表す星と解釈されていました。
ホロスコープで、その人の土星のある場所はその人にとって「苦手に感じる分野」「他より慎重になってしまう分野」
「石橋を叩いて渡る様に、時間をかけて克服する分野」といわれています。
勿論、他の惑星との角度やホロスコープ全体の惑星の配置によって色々な要素がミックスされてくるので
一概には言い切れませんが、
健康の部屋に土星がある方は、健康の大切さを学ぶ経験をされていて、
健康上の問題に人一倍敏感で様々な医療に詳しかったり、
自己表現をあらわす星座に土星のある方は、
若い頃はとても恥ずかしがり屋さんで人前に出るのが極度に恐かったり、
学問の部屋に土星のある方は
何かを学ぶのにも人一倍の時間を要したりされる様です。
実際自分自身のホロスコープを見ても、土星の位置している部屋や星座のあらわす分野は
「普通は簡単にできてもいいはずなのに、なぜか不安や恐れで、慎重になってしまう」分野でした。
ホロスコープを拝見したお客様方からのフィードバックでも
「その分野(その方の土星の位置している場所の分野)は試練に感じて、必要以上に難しく
考えちゃうんだよね」「楽天的に気軽に考えられないっていうか、極度に計算が働いてしまうというか」
と仰る方が多かったのです。
そういった事からも、土星はその人の苦手意識を表す天体ともいわれ大昔は凶星とされていたというのも、分かる気がする、と思っていました。
けれどあるとき、
私が学んだカラーセラピーの先生であり、アストロロジーでも20年以上のキャリアを持つ方が、
「慎重になってしまう分野、苦手に感じる分野というのは、
“誰よりも真剣に向き合ってきました”という分野なのよ」
と言葉をくださった時、そのメッセージが私の心に深く響き、
占星術での土星を理解する上で大きな鍵となったのです。
土星のキーワードは「時間」と一般にはいわれています。
それは「慎重さ」「時間をかけて克服できるもの」「時間をかけてつくりあげるもの」
そして私は“時間をかけたものは、簡単にはこわれない”というギフトであると受け取っています。
時間をかけた分、土星という文字どおり「土台」と「基盤」ができるからです。
実際、年を重ねるにつれ土星のある分野はその人の中の「しっかりした基盤のある分野」
になっていくので、
学問や教師の部屋に土星のある友人は、時間をかけて吸収した知識が
しっかり自分の血肉になっている事から教師や講師の仕事で活躍されていたり、
健康の部屋に土星がある友人は、御自身の体験を通して健康の大切さを人一倍知っていらっしゃる
ので、予防医学や代替医療等の仕事で多くの方々の健康や癒しに貢献されています。
又、人間関係の部屋に土星がある方は、若い頃は人間関係が苦手だったとしても、年を重ねるに連れて
人間関係の達人となり、中にはカウンセラーとして活躍されている方もいます。
自己表現の星座に土星がある著名人では、自己表現のマスターであるチャーリー・チャップリン氏もいます。
人間関係でも、仕事でも、時間をかけて真剣に作りあげたものはちょっとやそっとでは、崩れないものです。
人よりも歩みが遅いと感じたり、人一倍苦手だと思っていたものの後ろに“時間がかかったからこそ”
又は“真剣に向き合ってきたからこそ”得る事のできる、大きなギフトや才能があるのかもしれませんね。
実は自分の土星の位置する部屋の分野が仕事になっている私。どうやら試練の星の後ろには、大きな宝物があった様です。
土星の愛“時を越えてわかる愛”(2011年執筆)
占星学において、その昔、土星は試練の星と云われてきました。
しかし同時に時間をかけて達成する才能をも示します。
そして土星が愛情面で表現されると、甘えたり激しく燃え上がったりするというよりは、
ストイックなエネルギー、厳しさ、形で表現する愛などになると云われています。
(ただし、年を重ねるごとに温かくなっていき、
土星の形式的な愛はむしろ基盤のしっかりした愛につながります)
さて、本題です。
震災後、次のニュースを読んだとき、私は土星の愛の、さらに深い意味に気づきました。
★『東日本大震災 巨大防潮堤、村を守った 岩手・普代』(産経新聞 4月27日(水)7時56分配信)
東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた三陸沿岸にあって、岩手県普代(ふだい)村は
死者ゼロ、行方不明者1人にとどまった。
被害を食い止めたのは、かつて猛反対を受けながらも
村長が造った高さ15・5メートルの防潮堤と水門。
そして震災当日の消防士の献身的な行動だった。(中略)
普代村は明治29年と昭和8年の大津波で計439人の犠牲者を出した。
昭和40~50年代に普代村の村長を務めた故・和村幸得さんは防災対策に力を入れ、
同42年、漁港と集落の間に防潮堤を、
同59年には村を流れる普代川の河口から600メートルの場所に水門を完成させた。
2つの工事の総工費は約36億円。人口約3千人の村には巨額の出費で、15メートルを超える
高さの必要性が疑問視されたが、和村さんは「明治29年の大津波は高さ15メートルあった」
という言い伝えに基づき、譲らなかったという。(以上転載)
又、別の村では「この下に家を建てるな」という先人ののこした石碑の教えをまもり大難を
逃れたというニュース★『此処より下に家建てるな・・・先人の石碑、集落救う』(読売新聞3月30日(水)07時22分配信)もありました。
占星学においては、石碑、風化しない石は土星のあらわす事物です。
上記のニュースを読んだときに、土星の愛を感じました。
土星の愛は、時間的にはすぐには分かりにくいのです。
若い頃には年輩の方の助言が時に厳しく聞こえるのと同じです。
けれど土星の愛は、時の流れに淘汰されることのない、歴史が評価する愛です。
時間が経つにつれて、
「真に私(私達)のためを思ってくれていたものだ」と気付くのです。
また、自分が大人になったり親になったりしたときにようやくわかる愛。
恋愛でいえば「雨降って地固まる」あるいは「すぐに熱したものは冷めやすいけれど、
じっくり時間をかけて煮込んだものはなかなか冷めない」
「一緒に何かを乗り越えることで二人の歴史が作られていく」のが土星の愛なのです。
土星は「時間」「歴史」をあらわす星であり、土星の愛は“時を越えてわかる愛”
人は年を重ねるほどに、土星の愛を受け取ることができるのです。